50 日系人の在留資格とは?日系2世・3世・4世の違いを行政書士が解説

身分系在留資格シリーズ、今回は**「日系人の在留資格」**について解説します。
ブラジルやペルーなどには多くの日系人が暮らしていますが、「日系人」という名称の在留資格があるわけではありません。
日本人との血縁関係や世代、出生、年齢、婚姻関係などによって、**「日本人の配偶者等」「定住者」「特定活動」**など、検討する在留資格が変わります。
日系2世・3世の在留資格は?
出入国在留管理庁が公表している「日系人等の在留資格(典型例)」では、日本人の子として出生した日系2世については「日本人の配偶者等」が典型例として示されています。
一方、その次の世代である日系3世については、在留資格「定住者」が代表的です。
また、一定の要件の下で日系2世・3世の外国人配偶者についても「定住者」が認められる場合があります。
つまり、単に「祖父母が日本人だから大丈夫」と判断するのではなく、日本人との親族関係を戸籍や出生証明書などで世代をたどって立証することが重要になります。
日系4世はどうなる?
特に注意したいのが日系4世です。
日系4世だからといって、当然に「定住者」が認められるわけではありません。
一定の扶養関係にある未成年・未婚の実子として「定住者」に該当する場合とは別に、現在は一定の要件を満たす日系4世について、在留資格**「特定活動」**による受入れ制度が設けられています。
現在の制度では、原則として18歳以上35歳以下であること、日本語能力、生計維持能力、帰国旅費、健康・素行などの要件を満たす必要があります。年間受入枠は4,000人です。
日本語能力についても年齢などに応じた要件があり、在留期間が長くなるにつれて、より高い日本語能力が求められます。
したがって、日系4世については、年齢、日本語能力、家族関係、来日の目的などを早い段階で確認することが非常に重要です。
日系人なら自由に働ける?
「定住者」や「日本人の配偶者等」は、身分・地位に基づく在留資格であり、就労する職種に原則として制限がありません。
一方、日系4世の「特定活動」は、制度上定められた活動内容に基づく在留資格です。
そのため、「日系人=すべて同じ条件で働ける」と考えないことが大切です。
私にとっての日系人支援
私は若い頃、ブラジル・サンパウロで邦字新聞社の新聞記者として研修し、多くの日系人の方に助けていただきました。
取材の中で、ある日系人から聞いた**「私たちは日本人でもブラジル人でもない」**という言葉は、今も強く記憶に残っています。
日本にルーツがあっても、外国で生まれ育った人には、その人自身の言語、文化、家族の歴史があります。
だからこそ私は、日系人を「日本人の子孫」という枠だけで見るのではなく、一人の外国人として、その背景や将来の希望まで聞くことを大切にしたいと考えています。
まとめ
日系人の在留資格は、世代によって異なります。
日系2世では「日本人の配偶者等」、日系3世では「定住者」が典型的ですが、日系4世については「定住者」に該当する場合のほか、一定の要件を満たして「特定活動」を利用する制度があります。
大切なのは、「何世か」だけで結論を出さず、戸籍・出生・婚姻・年齢・扶養関係などを一つずつ確認することです。
行政書士の現場でよくある相談
「祖父が日系3世です。私は日系4世ですが、日本で暮らすことはできますか?」
日系4世であることだけでは判断できません。
年齢、日本語能力、家族関係、扶養状況などを確認し、「定住者」に該当する可能性があるのか、日系4世を対象とする「特定活動」を検討するのかを整理する必要があります。
特に家族で来日を希望する場合は、父・母・子それぞれについて在留資格を検討することが重要です。
企業担当者へのワンポイントアドバイス
ブラジルなどの日系人を採用する場合、「日系人だから就労制限がない」と思い込まないことが大切です。
まず在留カードで現在の在留資格と就労の可否を確認することが基本です。
そして、私は日系人を単なる人手不足対策としてではなく、日本と海外をつなぐ文化・言語・経験を持った人材として見ることをおすすめします。
本人の能力を生かし、長く日本で生活・成長できる環境をつくることは、企業にとっても大きな財産になると考えています。
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