31 在留資格「医療」とは?外国人医師・看護師の要件や医療滞在との違いを行政書士が解説

日本では、医師や看護師をはじめ、さまざまな国籍の医療従事者が活躍しています。
外国人が日本で医療従事者として働く際に検討される在留資格の一つが、**在留資格「医療」**です。
在留資格「医療」とは、医師、歯科医師その他、法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事するための在留資格です。代表的な職種として医師、歯科医師、看護師などがあります。
在留資格「医療」の対象となる職種は?
重要なのは、外国で医療関係の仕事をしていたというだけで「医療」の在留資格を取得できるわけではないことです。
出入国在留管理庁が示す申請書類では、医師・歯科医師のほか、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、歯科衛生士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士について、日本の資格を有することを証明する書類が求められています。
つまり、在留資格だけでなく、日本の医療資格制度とセットで考える必要があるのが「医療」の大きな特徴です。
外国人医師・看護師を採用するときのポイント
医療機関が外国人を採用する場合には、「外国人だから特別な採用」と考えるより、まず日本でその医療業務を適法に行える資格を持っているかを確認することが重要です。
そのうえで、在留資格「医療」に該当する活動なのか、雇用契約や職務内容は適切か、勤務する病院・診療所等の情報をどのように立証するかを整理していきます。
外国人採用では「在留資格」と「職種」だけを見るのではなく、資格・業務内容・雇用・在留資格を一体として確認するという視点が大切です。
「医療」と「医療滞在」はまったく違う
名称が似ているため注意したいのが、**「医療」と「特定活動(医療滞在)」**の違いです。
在留資格「医療」は、外国人が日本で医師や看護師などとして働くための在留資格です。
これに対して「特定活動(医療滞在)」は、外国人患者が日本で治療等を受ける場合に関係する制度です。
つまり、**「医療を提供する側」と「医療を受ける側」**という大きな違いがあります。
在留資格は名称のイメージだけで判断せず、「日本で何をするのか」という実際の活動内容から考える必要があります。
私が考える「在留資格×医療」の視点
私は長年、医療機関で勤務し、現在は行政書士として在留資格を扱うとともに、外国人患者受入れ医療コーディネーターとして外国人の医療支援にも関わっています。
医療現場では、資格や在留手続だけ整えば十分というわけではありません。
言葉の問題、文化や宗教への配慮、医療制度への理解、患者や家族とのコミュニケーション、そして外国人医療従事者自身の日本での生活など、さまざまな課題があります。
だからこそ私は、外国人医療人材の受入れを**「在留資格×医療×生活×コミュニケーション」**という一つの流れとして考えることが重要だと思っています。
まとめ
在留資格「医療」は、医師、歯科医師、看護師など、法律上の資格を有する者が行う医療業務に外国人が従事するための在留資格です。
重要なのは、「医療機関で働く外国人=在留資格『医療』」ではないということです。
本人が保有する日本の資格、実際の職務内容、勤務先、契約内容などを確認したうえで、適切な在留資格を判断する必要があります。
行政書士の現場でよくある相談
「海外で医師・看護師として働いていた外国人を、日本の病院で採用できますか?」
海外で医療資格や実務経験を持っているという事実だけで判断することはできません。
まず、日本で予定している医療行為について必要となる日本の資格を確認し、そのうえで在留資格「医療」の要件を検討する必要があります。
「海外で何をしていたか」と「日本で何をする資格があるか」を分けて確認することがポイントです。
医療機関・企業担当者へのワンポイントアドバイス
外国人医療従事者を採用するときは、在留資格の確認を採用手続の最後に回さないことをおすすめします。
**「日本の資格」「担当する医療業務」「雇用条件」「在留資格」**を採用段階から確認することで、入職直前になって在留資格上の問題が判明するリスクを減らせます。
さらに、採用して終わりではありません。
外国人医療従事者が日本の医療現場で能力を十分に発揮するためには、院内コミュニケーションや生活面を含めた受入れ環境も重要です。
「外国人医療人材を採用する」から「日本の医療現場で長く活躍してもらう」へ。
在留資格と医療現場の双方を理解して受入れを考えることが、これからの外国人医療人材活用では重要になると考えています。
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