32 在留資格「法律・会計業務」とは?外国人弁護士・公認会計士などの要件を行政書士が解説

外国人の専門人材が日本で活躍する分野は、IT、研究、医療だけではありません。法律や会計など、高度な専門知識を必要とする分野でも外国人材が活躍しています。

こうした外国人が日本で一定の法律・会計に関する専門業務に従事する際に検討されるのが、**在留資格「法律・会計業務」**です。

出入国在留管理庁では、「外国法事務弁護士、外国公認会計士等」が代表例として示されています。

在留資格「法律・会計業務」とは?

在留資格「法律・会計業務」は、外国法事務弁護士、外国公認会計士など、法律上、資格を有する者が行うこととされている法律または会計に係る業務に従事するための在留資格です。

ここで重要なのは、単に「法律に詳しい」「海外で会計の仕事をしていた」というだけで、この在留資格に該当するわけではないということです。

その外国人が日本で行おうとしている業務について、法律上必要とされる資格を有しているか、そして実際の職務内容がその資格に基づく専門業務なのかを確認する必要があります。

つまり、「本人の資格」と「日本で実際に行う業務」の両方を見ることが重要です。

「法律・会計業務」と「技術・人文知識・国際業務」の違い

企業の外国人採用で混同しやすいのが、**在留資格「技術・人文知識・国際業務」**です。

例えば、外国人が企業の経理・財務、法務、コンサルティングなどの業務に従事するからといって、必ず「法律・会計業務」になるわけではありません。

大学等で学んだ会計・経営・法律などの専門知識を生かして、企業内で経理、財務、法務等の業務を行う場合には、「技術・人文知識・国際業務」が検討されることがあります。

一方、「法律・会計業務」は、法律上の資格に基づいて行う専門的な法律・会計業務である点に大きな特徴があります。

「法務だから法律・会計業務」「経理だから法律・会計業務」と、部署名や職種名だけで判断しないことが大切です。

外国資格を持っていれば日本で働ける?

ここも注意したいポイントです。

外国で弁護士や会計士として活動していたからといって、その資格だけで日本において資格者に限定されたすべての業務を自由に行えるわけではありません。

例えば外国法に関する法律事務を日本で行う外国弁護士については、法務省の外国法事務弁護士制度が設けられています。

在留資格を考える前提として、**「その外国資格によって日本でどこまで業務を行えるのか」**を確認する必要があります。

在留資格と専門資格は別々の制度ですが、法律・会計業務では両者を一体として考えることが特に重要です。

MBAを持つ行政書士として考える「法律・会計と経営」

企業経営という視点から見ると、法律・会計は単に「専門家に任せる仕事」ではありません。

契約、コンプライアンス、税務、会計、資金調達、人事、外国人雇用などは相互につながっており、企業の意思決定そのものに関係します。

外国人の高度専門人材を採用する場合にも、在留資格だけを見るのではなく、**「その専門家を企業のどの機能に位置付け、どのような価値を生み出してもらうのか」**という経営的な視点が重要だと考えています。

行政書士としても、自分の専門領域だけで完結させるのではなく、必要に応じて弁護士、公認会計士、税理士など他士業と連携する姿勢が重要です。

まとめ

在留資格「法律・会計業務」は、法律上の資格を有する外国人が、その資格に基づく法律・会計業務に従事するための在留資格です。

重要なのは、「法律・会計に関係する仕事=法律・会計業務」ではないということです。

本人が有する資格、日本で認められる業務範囲、実際の仕事内容、勤務先との契約などを確認し、適切な在留資格を判断する必要があります。

行政書士の現場でよくある相談

「外国人を会社の法務・経理担当として採用します。在留資格は『法律・会計業務』でしょうか?」

必ずしもそうではありません。

一般企業で大学等で学んだ専門知識を生かして法務・経理・財務などを担当する場合には、**「技術・人文知識・国際業務」**が検討されるケースがあります。

一方、法律上の資格を有することを前提として、その資格に基づく専門業務を行う場合には「法律・会計業務」を検討します。

「どの部署で働くか」ではなく、「どの資格に基づいて、実際に何をするのか」から判断することがポイントです。

企業担当者へのワンポイントアドバイス

外国人の法律・会計人材を採用するときは、「海外で弁護士だった」「会計士資格を持っている」という経歴だけで採用手続を進めないことをおすすめします。

まず、**「保有資格」「日本で認められる業務範囲」「具体的な職務内容」「適切な在留資格」**を整理してください。

また、企業内の法務・経理担当者として採用するのか、資格に基づく専門家として業務を行ってもらうのかによって、検討すべき在留資格が変わる可能性があります。

「外国人専門家を採用する」から「その専門性を日本の企業経営でどう生かすか」へ。

在留資格と資格制度、そして経営をつなげて考えることが、高度外国人材を生かすうえで重要だと考えています。

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