30 在留資格『研究』とは?外国人研究者の採用要件・教授や高度専門職との違いを行政書士が解説

日本では、AI、半導体、バイオテクノロジー、医療、環境・エネルギーなど、さまざまな分野で外国人研究者が活躍しています。

こうした外国人が日本の研究機関や企業などで研究者として働く際に検討されるのが、在留資格「研究」です。

在留資格「研究」とは、日本の公私の機関との契約に基づいて、研究を行う業務に従事するための在留資格です。代表例として、政府関係機関や民間企業などの研究者が挙げられます。

制度の詳細については、出入国在留管理庁の「在留資格『研究』」で確認できます。

在留資格「研究」でできる仕事とは?

在留資格「研究」で重要なのは、単に本人の肩書が「研究員」「Researcher」であることではありません。

**「どのような機関と契約し、実際にどのような研究を行うのか」**が重要です。

申請では、本人の学歴・職歴・研究経験だけでなく、勤務先の事業内容、雇用契約、具体的な研究内容などを確認する資料が必要になる場合があります。

なお、2026年4月15日以降の申請では、所属機関がカテゴリー3または4に該当する場合、「所属機関の代表者に関する申告書」などの追加書類が必要となっています。

申請前には必ず出入国在留管理庁の最新情報を確認することが大切です。

「研究」と「教授」は何が違う?

外国人研究者を受け入れる際に混同しやすいのが、在留資格「教授」です。

「教授」は、日本の大学やこれに準ずる機関、高等専門学校において、研究、研究の指導または教育を行う活動を対象としています。

一方、「研究」は、政府関係機関や民間企業などで研究業務に従事する外国人が代表例です。

詳しくは、出入国在留管理庁の「在留資格『教授』」も確認してください。

つまり、同じ「研究者」であっても、どこで、どのような活動をするのかによって在留資格が変わる可能性があるということです。

「研究者=研究」と職業名だけで判断しないことが重要です。

「高度専門職」という選択肢も

優秀な外国人研究者を招聘・採用する場合には、「研究」だけでなく「高度専門職1号イ(高度学術研究活動)」に該当しないかも確認したいところです。

高度人材ポイント制では、学歴、職歴、年収などをポイント化し、一定の基準を満たす外国人に出入国在留管理上の優遇措置を設けています。

詳しくは、出入国在留管理庁の「高度人材ポイント制とは?」で確認できます。

高度専門職1号では、在留期間「5年」の付与、一定の条件のもとでの配偶者の就労や親の帯同、永住許可要件の緩和など、さまざまな優遇措置があります。

博士号を持つ研究者や研究実績が豊富な人材を採用する場合には、目の前の在留資格だけでなく、その外国人材の将来まで考えて在留資格を選択する視点も重要です。

私が考える「研究と社会をつなぐ」という視点

研究は、研究室の中だけで完結するものではありません。

例えばAIや医療技術の研究成果が社会実装されれば、企業活動や医療現場、外国人支援など、私たちの生活そのものを変える可能性があります。

私は行政書士として外国人の在留資格を扱う一方、AIについても学びG検定を取得しました。また、長年医療機関で勤務し、外国人患者受入れ医療コーディネーターとして外国人の医療支援にも取り組んでいます。

そのため外国人研究者の受入れについても、単なる「在留資格の申請」としてではなく、研究・企業・AI・医療・外国人材・社会実装をつなぐ視点で考えることが重要だと思っています。

特にAI、医療、バイオなどの分野では、世界中から優秀な研究者を受け入れることが、日本企業や研究機関の競争力にもつながっていくでしょう。

まとめ

在留資格「研究」は、日本の公私の機関との契約に基づき、外国人が研究業務に従事するための在留資格です。

重要なのは、**「研究者という肩書」ではなく、「勤務先・契約・研究内容・本人の学歴や研究経験」**です。

さらに、大学などで研究・教育を行う場合には「教授」、高度な学歴・職歴・年収などの条件を満たす場合には「高度専門職」が選択肢となる可能性があります。

外国人研究者を採用するときは、採用後ではなく、採用を検討する段階から適切な在留資格を確認することをおすすめします。

行政書士の現場でよくある相談

「外国人を研究員として採用します。在留資格は『研究』でよいでしょうか?」

「研究員」という肩書だけでは判断できません。

まず確認したいのは、勤務先がどのような機関なのか、本人が実際にどのような研究を担当するのか、本人の学歴・職歴・研究経験がどうなっているのかという点です。

大学などで研究・教育を行う場合には「教授」が該当する可能性があります。

さらに、本人の学歴、職歴、年収、研究実績などによっては「高度専門職1号イ」を検討できるケースもあります。

職名ではなく、実際の活動内容から在留資格を判断することが基本です。

企業担当者へのワンポイントアドバイス

外国人研究者を採用するときは、人事部門だけで在留資格の準備を進めるのではなく、実際に研究者を受け入れる研究部門・技術部門とも情報を共有することをおすすめします。

「新製品の研究を担当します」という説明だけではなく、研究テーマ、担当業務、必要とされる専門知識、本人の学歴・研究歴との関連性まで整理しておくと、在留資格申請の準備もしやすくなります。

さらに、優秀な外国人研究者については高度専門職の可能性も確認し、将来的な永住まで含めたキャリアを考える。

「外国人研究者を採用する」から「外国人研究者に日本で長く活躍してもらう」へ。

この視点が、これからの企業の外国人高度人材戦略では重要になってくると考えています。

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