25 在留資格「企業内転勤」とは?海外から日本へ転勤する外国人の要件を行政書士が解説

在留資格「企業内転勤」とは、海外にある会社や事業所で働いている外国人社員が、日本にある本店・支店などへ期間を定めて転勤し、専門的な仕事をするための在留資格です。

例えば、海外本社で勤務しているITエンジニアを日本支社へ転勤させるケースや、海外拠点のマーケティング担当者を日本法人へ配置するケースなどが考えられます。

企業のグローバル化が進むなか、海外拠点と日本拠点との人材交流にとって重要な在留資格です。

詳しい制度は、出入国在留管理庁「在留資格『企業内転勤』」で確認できます。

どのような仕事ができる?

「企業内転勤」で認められる仕事は、何でもよいわけではありません。

日本で行うことができるのは、原則として「技術・人文知識・国際業務」に該当する専門的な業務です。具体的には、IT・エンジニアリング、経理、企画、マーケティング、貿易、通訳・翻訳などが考えられます。

そのため、「海外の関連会社から日本へ転勤してくる社員だから企業内転勤でよい」と単純に判断することはできません。

日本で実際にどのような仕事をするのかが重要です。

原則として海外で1年以上勤務していることが必要

企業内転勤で特に重要な要件の一つが、転勤前の勤務期間です。

原則として、転勤の直前に海外の本店・支店などで「技術・人文知識・国際業務」に該当する仕事に継続して1年以上従事している必要があります。

また、日本で受け取る報酬についても、日本人が同じ仕事に従事する場合と同等額以上であることが求められます。

したがって、海外拠点で採用したばかりの社員を、すぐに「企業内転勤」で日本へ呼び寄せようとする場合には注意が必要です。

「技術・人文知識・国際業務」と何が違う?

企業担当者からすると、ここが少し分かりにくいところです。

「企業内転勤」と「技術・人文知識・国際業務」は、日本で担当できる専門的な仕事内容には共通する部分があります。

大きな違いは、海外の事業所から日本の事業所へ転勤するという企業内の人事異動であることです。

企業内転勤では、この転勤関係があることを前提として、転勤直前の海外勤務について1年以上という基準が設けられています。

どちらの在留資格が適切なのかは、本人の経歴だけでなく、海外法人と日本法人との関係や雇用・転勤の形態、日本での仕事内容などを整理して判断する必要があります。

私が大切だと考える「転勤後」の視点

私は、外国人社員の受入れでは、在留資格の許可を取ることだけでなく、日本へ来てから安心して働ける環境を整えることも重要だと考えています。

海外で優秀な社員であっても、日本へ転勤すれば生活環境は大きく変わります。

住居、社会保険、銀行、家族の生活、子どもの教育、そして病気になった場合の医療機関の利用など、仕事以外にも多くの課題があります。

私は長年の医療機関勤務と外国人対応の経験から、外国人社員の定着には「仕事」と「生活」を切り離さない視点が必要だと感じています。

特に家族を伴って日本へ赴任する場合には、本人だけでなく、家族全体が日本で安心して暮らせる環境づくりも企業の外国人材戦略の一部ではないでしょうか。

まとめ

在留資格「企業内転勤」は、海外の事業所で働いている外国人社員が、日本の関連する事業所へ期間を定めて転勤し、専門的な仕事を行うための在留資格です。

重要なのは、**「海外と日本の事業所の関係」「海外での勤務期間」「日本での仕事内容」「報酬」**です。

「海外からの転勤だから大丈夫」と考えるのではなく、日本への異動を決める段階で在留資格の要件を確認しておきましょう。

行政書士の現場でよくある相談

「海外の子会社で働く社員を日本の本社へ呼びたいのですが、企業内転勤を使えますか?」

企業内転勤は、本店から支店への転勤だけに限定される制度ではありません。一定の企業関係のもとで、親会社・子会社などの間の異動が対象となる場合があります。

ただし、企業間の関係、日本で担当する仕事内容、転勤直前の海外勤務期間などを確認する必要があります。

特に、「海外で1年以上働いているか」だけではなく、その期間にどのような仕事をしていたのかまで確認することが重要です。

企業担当者へのワンポイントアドバイス

海外拠点から外国人社員を日本へ転勤させる場合、航空券や住居を手配する前に在留資格を確認してください。

まず整理したいのは、①海外法人と日本法人の関係、②海外での勤務期間と仕事内容、③日本で担当する仕事内容、④日本での報酬です。

特にグループ企業間の人事異動では、「社内転勤だから在留資格も問題ない」と思い込みやすいところです。

海外人事と日本の人事担当者が早い段階から情報を共有し、必要に応じて行政書士などの専門家へ相談することで、赴任時期の遅れなどを防ぎやすくなります。

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