23 在留資格「経営・管理」とは?MBAホルダーの行政書士が事業計画と許可要件をわかりやすく解説

在留資格「経営・管理」は、外国人が日本で会社を経営したり、企業の管理業務に携わったりするための在留資格です。
例えば、外国人が日本で会社を設立して代表取締役として事業を行う場合や、一定規模の企業で管理者として働く場合などが対象になります。
ただし、「会社を設立してお金を用意すれば、経営・管理の在留資格が取れる」という単純な制度ではありません。
事業の規模、事業所、人員、経営者としての能力、そして「この事業を日本で本当に継続していけるのか」という事業計画まで確認されます。
私は行政書士であると同時に、MBA(経営管理修士)を取得しています。その立場から「経営・管理」を見ると、在留資格の許可要件を満たすことはもちろん、許可後にその会社が事業として成り立つのかという視点も非常に重要だと考えています。
「経営・管理」はどんな在留資格?
出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」は、大きく「事業を経営する人」と「事業を管理する人」を対象としています。
「経営」とは、代表取締役などとして事業方針を決定し、会社を運営する活動です。
一方、「管理」は、一定規模の企業で部門責任者などとして事業の管理に携わる活動です。
会社へ出資しただけ、あるいは役員として登記されているだけでは十分ではありません。実際に日本で経営・管理活動を行っていることが必要です。
2025年10月から許可基準が大きく変わった
「経営・管理」については、2025年10月16日に許可基準が改正されました。
従来は「資本金500万円」という数字が広く知られていましたが、現在は基準が大きく変わっています。
事業規模について3,000万円以上の資本金等が求められるほか、常勤職員の雇用、経営者本人の経歴・学歴、日本語能力、事業計画などについても要件があります。
インターネットには改正前の情報も残っていますので、「500万円あれば経営・管理が取れる」という古い情報だけで判断するのは危険です。
最新の要件については、出入国在留管理庁「『経営・管理』の許可基準の改正等について」で確認することができます。
MBAの視点から見る「事業計画」の重要性
経営・管理の申請で、私が特に重要だと考えているのが事業計画です。
事業計画は、在留資格を取得するためだけに作る書類ではありません。
「誰に、どのような商品・サービスを提供するのか」
「競合企業との違いは何か」
「どのように顧客を獲得するのか」
「売上はいくら見込めるのか」
「人件費や家賃などを支払って利益を確保できるのか」
「必要な運転資金を確保できているのか」
こうした点を具体的に考える必要があります。
MBAで経営を学んだ立場から見ると、重要なのは**「会社を作れるか」ではなく、「継続して経営できる会社を作れるか」**です。
例えば、売上予測が大きくても、その根拠となる顧客や販売方法が明確でなければ、事業計画として十分とはいえません。
在留資格の申請をきっかけに、ビジネスモデル、資金計画、収益構造まで一度整理することには、経営者自身にとっても大きな意味があります。
「許可を取ること」をゴールにしない
私は、経営・管理の許可取得だけをゴールにするべきではないと考えています。
許可後には、売上をつくり、従業員へ給与を払い、税金や社会保険料を納め、会社を継続していかなければなりません。
外国人経営者本人も日本で生活します。家族がいれば、住居、教育、医療なども関係します。
私は長年、医療機関の運営・管理にも携わってきました。その経験とMBAで学んだ経営の知識、そして行政書士としての在留資格の知識を組み合わせ、「在留資格・経営・生活」を一体として見ることを大切にしています。
必要に応じて、税理士、社会保険労務士、司法書士など他の専門家と連携することも、外国人経営者が日本で事業を継続するためには重要です。
まとめ
在留資格「経営・管理」は、外国人が日本で事業を経営したり、企業の管理業務に携わったりするための在留資格です。
2025年10月の基準改正により、従来以上に、資金・人員・経営者の能力・事業所・事業計画・事業の継続性を総合的に考える必要があります。
そして、本当に重要なのは「経営・管理の許可を取れる会社」を作ることではありません。
「日本で継続して成長できる会社」を作ることです。
行政書士として許可要件を確認するとともに、MBAの視点から事業計画や経営そのものにも目を向ける。私は、その両方の視点から外国人経営者の日本での第一歩を考えることが大切だと思っています。
行政書士の現場でよくある相談
「3,000万円を用意して会社を設立すれば、経営・管理の在留資格は取れますか?」
資本金等の事業規模に関する要件を満たすことは重要ですが、それだけで許可されるわけではありません。
常勤職員、事業所、経営者本人の経歴・学歴、日本語能力、事業計画など、複数の要件を確認する必要があります。
さらに私は、**「許可されるか」だけでなく「その事業が継続できるか」**も確認することが重要だと考えています。
会社設立、資本金の払込み、事務所契約など大きなお金を動かす前に、在留資格と事業計画の両面から検討することをおすすめします。
企業担当者へのワンポイントアドバイス
外国人経営者との共同事業や海外企業の日本進出では、在留資格と会社設立を別々に進めないことが重要です。
**「在留資格」「会社設立」「資金計画」「事業計画」「人材採用」**を一つのプロジェクトとして考えてください。
特に事業計画は、入管へ提出するためだけの書類にしてはいけません。
外国人経営者と日本側のパートナーが、顧客、競合、売上、コスト、資金繰り、組織体制について認識を共有するための「経営の設計図」として活用することをおすすめします。
在留資格と経営の両面を早い段階から整理することが、日本進出を成功させる第一歩になります。
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