21 技術・人文知識・国際業務とは?仕事内容や取得要件を行政書士がわかりやすく解説

 今回から25回にわたり、「就労系在留資格」について解説していきます。

「技術・人文知識・国際業務」は、日本企業で働く外国人にとって代表的な就労系の在留資格です。一般に、頭文字を取って「技人国(ぎじんこく)」とも呼ばれています。

例えば、ITエンジニア、機械設計、経理、マーケティング、企画、貿易、通訳・翻訳など、専門的な知識や外国人ならではの能力を生かして働く場合に該当する可能性があります。

重要なのは、「会社員なら技人国が取れる」という制度ではないことです。本人の学歴・職歴と、実際に担当する仕事内容との関係を確認する必要があります。

「技術」「人文知識」「国際業務」とは?

名称は長いですが、大きく3つに分けると理解しやすくなります。

技術は、理学・工学など自然科学分野の専門知識を必要とする仕事です。ITエンジニア、プログラマー、機械・電気系エンジニアなどが代表例です。

人文知識は、法律学、経済学、社会学など人文科学分野の知識を必要とする仕事で、経理、営業、企画、マーケティング、貿易業務などが考えられます。

国際業務は、外国の文化に基盤を持つ思考や感受性を必要とする仕事で、通訳・翻訳、語学指導、海外取引業務などが代表的です。

ただし、職種名だけで判断されるわけではありません。実際にどのような仕事を担当するのかが重要です。

大学・専門学校で何を学んだかも重要

技人国では、原則として一定の学歴または実務経験などの要件を満たす必要があります。

例えば大学卒業者の場合、大学で学んだ内容と、日本で担当する仕事との関連性が審査上の重要なポイントになります。

専門学校卒業者についても、専門課程で学んだ内容と仕事内容との関連性が特に重要です。

国際業務については、原則として関連する業務について3年以上の実務経験が求められますが、大学卒業者が翻訳・通訳・語学指導に従事する場合などには例外があります。

そのため、「大卒だから技人国が取れる」と単純に考えるのではなく、何を学び、会社で何をするのかをセットで確認する必要があります。

単純作業を中心とする仕事はできる?

技人国について特に相談が多いのが、現場作業との関係です。

例えば、工場の製造ライン、飲食店での調理・配膳、ホテルの清掃など、専門的な知識を必要としない作業を主な業務として行う場合、原則として技人国には該当しません。

ここで企業が注意したいのは、「営業職として採用したことにすればよい」といった形式だけでは判断されないということです。

雇用契約書上の職種名ではなく、実際の業務内容が在留資格に適合している必要があります。

日本人と同等以上の報酬も必要

技人国で外国人を雇用する場合、日本人が同じ仕事をする場合に受ける報酬と同等額以上の報酬であることも求められます。

外国人だからという理由だけで、同じ仕事をする日本人より低い給与を設定することは適切ではありません。

これは在留資格の問題だけではなく、外国人が日本で安心して働き続けるためにも大切な視点です。

私が大切だと考える「働いた後」の視点

私は、在留資格の許可を取ることだけで外国人雇用を考えるべきではないと思っています。

外国人は、許可後に日本で働き、住居を確保し、社会保険に加入し、病気になれば医療機関を受診します。

医療機関で長年勤務し、外国人対応にも携わってきた経験から感じるのは、「在留資格」と「仕事」と「生活」は一続きであるということです。

技人国で採用した外国人に長く活躍してもらうには、在留資格の管理だけでなく、職場でのコミュニケーションや生活面への配慮も重要です。

行政書士として申請を支援するだけでなく、その後、日本社会で安心して働き続けられるところまで見据えることを大切にしたいと考えています。

まとめ

「技術・人文知識・国際業務」は、IT、経理、企画、マーケティング、貿易、通訳・翻訳など、専門的な知識や外国文化に基づく能力を生かして働くための代表的な在留資格です。

ポイントは、学歴・職歴・仕事内容・報酬などを総合的に確認することです。

会社員だから取得できる、大卒だから取得できる、というものではありません。

外国人本人も企業も、就職・採用を決める前に「この仕事は技人国でできるのか」を確認しておくことが重要です。

行政書士の現場でよくある相談

「大学を卒業していれば、技人国でどんな仕事でもできますか?」

大学を卒業しているというだけで、すべての仕事が認められるわけではありません。

大学での専攻内容やこれまでの経歴と、就職先で担当する具体的な仕事内容との関連性などが審査されます。

特に転職する場合は、現在「技人国」を持っているからといって、新しい会社のすべての仕事が自動的に認められるわけではありません。

転職前に新しい仕事内容が在留資格の範囲に入るか確認することをおすすめします。

企業担当者へのワンポイントアドバイス

外国人を技人国で採用するときは、履歴書と在留カードだけで判断しないでください。

特に確認したいのは、**「大学・専門学校で何を学んだか」「これまでどのような仕事をしてきたか」「自社で実際に何を担当してもらうか」**の3点です。

そして、雇用契約書や求人票に書かれた職種名だけではなく、実際の業務内容まで確認することが重要です。

採用後に「この仕事は在留資格の範囲外だった」と気づくより、採用前に行政書士などの専門家へ確認することが、外国人本人と企業の双方を守ることにつながります。

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