10 在留資格取消制度とは?取消事由と外国人・企業の注意点を行政書士が解説

在留資格取消制度とは、日本に在留する外国人について、不正な手段で在留資格を取得した場合や、在留資格に応じた本来の活動を一定期間行っていない場合などに、法務大臣が現在の在留資格を取り消す制度です。

在留期限が残っていても、取消事由に該当すれば在留資格を失う可能性があります。ただし、退職や休学をしただけで、直ちに取り消されるわけではありません。事情や経緯を正確に確認することが重要です。

在留資格が取り消される主なケース

代表的な取消事由には、次のようなものがあります。

まず、学歴、職歴、雇用先、活動内容などについて虚偽の資料を提出し、不正な手段で上陸許可や在留許可を受けた場合です。

また、「技術・人文知識・国際業務」「留学」「技能実習」など、活動に基づく在留資格を持つ外国人が、正当な理由なく、その活動を継続して3か月以上行っていない場合も対象となり得ます。

「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の方が、正当な理由なく、配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合も、取消事由となる可能性があります。

さらに、中長期在留者が新たな住居地を90日以内に届け出なかった場合や、虚偽の住居地を届け出た場合なども対象です。

退職すると3か月後に必ず取り消される?

外国人が会社を退職してから3か月が経過すると、在留資格が自動的に取り消されるわけではありません。

病気やけがで働けない、会社都合で退職した後に就職活動を続けているなど、「正当な理由」がある場合は、個別の事情が考慮されます。

大切なのは、就職活動の記録、応募先とのメール、ハローワークの利用記録、診断書などを保存し、現在の状況を説明できるようにしておくことです。また、所属機関を離れた場合などには、原則として14日以内の届出が必要になることがあります。

私は、外国人本人に「3か月たったら即取消し」と不安だけを与えるのではなく、退職理由、生活状況、今後の予定を一緒に整理する支援が必要だと考えています。

取消しの前には意見を述べる機会がある

在留資格の取消しは、何の説明もなく突然決定されるものではありません。原則として、本人から意見を聴く手続が行われ、本人は事情を説明したり、証拠を提出したりすることができます。

取消事由に該当する可能性があるという通知を受けた場合は、放置せず、事実関係と提出資料を早急に整理する必要があります。取消理由によっては、取消後に一定期間内の出国を求められる場合や、退去強制手続につながる場合があります。

私が大切だと考える視点

在留資格の問題は、外国人本人だけの問題ではありません。

企業が実際とは異なる職務内容で申請したり、退職後の届出や説明を本人任せにしたりすると、外国人の生活基盤そのものが失われる可能性があります。

行政書士には、取消しを恐れさせるだけではなく、本人と企業の双方から事情を聞き、適切な届出、在留資格変更、再就職などの選択肢を早い段階で示す役割があると考えています。

まとめ

在留資格取消制度とは、不正な手段による許可取得や、本来の活動を一定期間行っていない場合などに、現在の在留資格を取り消す制度です。

退職、休学、離婚などがあっても、直ちに取消しとなるとは限りません。しかし、何も届け出ず、説明資料も残さないまま放置すると、更新申請や取消手続で不利になる可能性があります。

事情が変わった段階で、早めに対応方法を確認することが大切です。


行政書士の現場でよくある相談

「会社を退職して3か月が経過しました。在留資格は取り消されますか?」

3か月の経過だけで自動的に取り消されるわけではありません。

ただし、在留資格に応じた活動を行わず、就職活動などもしていない状態が続く場合は、取消しの対象となる可能性があります。退職理由、求職活動、病気などの事情を整理し、必要な届出や在留資格変更を検討しましょう。


企業担当者へのワンポイントアドバイス

外国人従業員が退職した際は、離職票などを交付するだけでなく、本人に所属機関に関する届出が必要となる場合があることを伝えてください。

また、採用時の申請書類と実際の業務内容が一致しているか、配置転換後も在留資格の範囲内かを確認することが重要です。

外国人雇用では、採用時の確認、在職中の職務管理、退職時の案内を一連の仕組みにすることが、在留資格取消しや不法就労のリスクを防ぐことにつながります。

⇩

「グロリア国際行政書士事務所のホームページ」