9 特別永住者と永住者の違いとは?在留カード・就労・手続きを行政書士が解説

「特別永住者」と「永住者」は、どちらも日本に長期間居住でき、原則として就労内容に制限がないため、同じような制度と思われがちです。
しかし、両者は法的根拠、対象となる人、所持する証明書、各種手続きが異なります。
一般の永住者は、在留資格「永住者」への永住許可申請を行い、法務大臣の許可を受けた外国人です。一方、特別永住者は、戦前から日本に居住していた旧植民地出身者とその子孫などについて、歴史的な経緯を踏まえ、入管特例法により特別な法的地位が認められている方です。
永住者は在留資格、特別永住者は特別な法的地位
永住者は、入管法に定められた在留資格の一つです。永住許可を希望する外国人は、在留年数、素行、生活の安定、公的義務の履行などの要件について審査を受けます。
これに対して特別永住者は、一般的な在留資格の変更や永住許可申請によって取得するものではありません。一定の歴史的背景と身分関係に基づき、入管特例法によって認められる地位です。
そのため、外国人が日本に長く住んでいるという理由だけで、特別永住者になれるわけではありません。
所持するカードが異なる
一般の永住者には「在留カード」が交付されます。
一方、特別永住者には「特別永住者証明書」が交付されます。特別永住者証明書には、氏名、生年月日、国籍・地域、住居地、有効期間などが記載され、特別永住者としての法的地位を証明します。
どちらも在留期間そのものは無期限ですが、カードや証明書には有効期限があります。そのため、期限が近づいた場合には更新手続きが必要です。特別永住者証明書の更新は、原則として有効期間満了日の3か月前から、居住地の市区町村窓口で申請します。
就労制限はある?
永住者も特別永住者も、原則として職種による就労制限を受けません。
「技術・人文知識・国際業務」などの就労資格とは異なり、転職や職務内容の変更を理由に在留資格変更許可申請をする必要はありません。会社員、自営業、アルバイトなど、幅広い働き方が可能です。
ただし、外国人である以上、本人確認や各種届出が不要になるわけではありません。
再入国手続にも違いがある
海外へ一時的に出国する場合、永住者と特別永住者では、みなし再入国許可の有効期間が異なります。
特別永住者のみなし再入国許可は、原則として出国の日から2年間です。また、通常の再入国許可についても、特別永住者は最長6年間とされ、一般の外国人とは異なる取扱いがあります。
私は、こうした違いを単なるカードの名称の違いとして説明するのではなく、その方が日本で暮らしてきた歴史や家族背景にも配慮して説明することが大切だと考えています。私の叔父が在日韓国人であり、実際に理不尽な場面を目にしてきました。特別永住者という制度には、戦後の国籍制度や日本社会の歴史が深く関係しています。窓口や職場で必要以上に在留資格を問いただすことなく、制度を正しく理解したうえで対応する姿勢が求められます。
まとめ
特別永住者と永住者は、どちらも在留期間が無期限で、原則として就労制限がありません。
しかし、永住者は入管法上の在留資格であり、特別永住者は歴史的経緯に基づき入管特例法で認められた特別な地位です。
また、永住者には在留カード、特別永住者には特別永住者証明書が交付され、更新窓口や再入国手続にも違いがあります。
行政書士の現場でよくある相談
「特別永住者も、永住許可申請をする必要がありますか?」
特別永住者は、すでに入管特例法に基づく特別な永住資格を有しているため、一般の永住許可申請をする必要はありません。
ただし、特別永住者証明書の有効期限が近づいた場合や、氏名、国籍・地域、住居地などに変更があった場合には、それぞれ必要な手続きを行う必要があります。
企業担当者へのワンポイントアドバイス
特別永住者を採用する際は、一般の在留カードではなく、特別永住者証明書によって本人の地位を確認します。
特別永住者には原則として就労制限がないため、職務内容を理由とする在留資格変更は必要ありません。
一方で、特別永住者証明書には常時携帯義務がないため、日常的に携帯していないことだけを理由に、不適切な扱いをしないよう注意が必要です。採用時の本人確認は丁寧に行いつつ、その方の歴史的・社会的背景にも配慮した対応が大切です。
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