44 特定技能「自動車運送業分野」とは?トラック・タクシー・バスの要件を行政書士が解説

物流や地域交通を支えるドライバー不足への対応として注目されているのが、在留資格**「特定技能」の自動車運送業分野**です。

「自動車運送業」という独立した在留資格があるわけではなく、在留資格「特定技能1号」の対象分野の一つです。

対象はトラック・タクシー・バス

**特定技能「自動車運送業分野」**には、①トラック運転者、②タクシー運転者、③バス運転者の3つの業務区分があります。

トラックでは、安全な貨物輸送のほか、運行前後の車両点検、乗務記録、貨物の積付けなどを行います。

タクシー・バスでは、安全な旅客輸送に加えて、車両点検、乗務記録、乗客への対応なども重要な業務となります。

したがって、「外国人に運転を任せればよい」という制度ではありません。安全運行とコミュニケーション能力まで含めた専門人材の受入れ制度として考える必要があります。

特定技能1号になるための要件は?

外国人本人には、原則として業務区分に応じた自動車運送業分野特定技能1号評価試験への合格と、日本の運転免許が必要です。

トラック運転者は第一種運転免許、タクシー・バス運転者は第二種運転免許が必要となります。

日本語能力については、トラックでは原則としてJFT-BasicまたはJLPT N4以上、タクシー・バスでは乗客対応などが必要になるため、原則としてJLPT N3以上が求められます。

さらに、タクシー・バスでは新任運転者研修を修了する必要があります。

日本の運転免許を持っていない場合は?

自動車運送業分野の特徴が、特定技能1号になる前の**「特定活動(特定自動車運送業準備)」**です。

日本の運転免許取得や、タクシー・バスの新任運転者研修を行うため、一定の要件の下でこの在留資格を利用できます。

在留期間はトラックが6か月、タクシー・バスが1年で、更新はできません。

海外からドライバーを採用する場合は、単純に「採用→特定技能」ではなく、採用→来日→日本の免許取得等→特定技能1号へ変更→実際の乗務という流れまで設計することが重要です。

私が考える自動車運送業の外国人雇用

私は医療機関で長く組織運営に携わってきましたが、医療と運送業には共通する点があります。それは、小さな確認不足が人の生命や安全に直結する可能性があることです。

そのため外国人ドライバーの採用では、在留資格や運転免許だけでなく、日本語教育、安全教育、健康管理、生活支援まで一体として考える必要があります。

外国人を単なる人手不足対策ではなく、地域の物流や公共交通を将来にわたって支える「仲間」として育てる視点が重要だと考えています。

まとめ

特定技能「自動車運送業分野」は、トラック・タクシー・バスの運転者として外国人が働くための制度です。

一方、技能試験、日本語能力、日本の運転免許、受入れ企業側の要件など、一般的な特定技能とは異なる確認事項があります。

採用前から実際の乗務開始までを見通した受入れ計画を作ることが重要です。

行政書士の現場でよくある相談

「海外でトラック運転手をしている外国人を、そのまま日本で特定技能ドライバーとして採用できますか?」

海外での運転経験だけでは判断できません。

技能試験、日本語能力、日本の運転免許などの要件を確認し、必要であれば「特定活動」による準備期間を経て、特定技能1号へ移行する流れを検討します。

企業担当者へのワンポイントアドバイス

外国人ドライバーの採用では、「何人採用できるか」だけでなく、誰が日本語教育・免許取得・生活・健康・安全教育を支えるのかまで採用前に決めておくことが大切です。

外国人雇用を単なる採用活動ではなく、在留資格×労務管理×安全管理×生活支援×人材育成を組み合わせた長期的な人材戦略として設計することが、定着への第一歩になります。

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