2 ビザと在留資格の違いとは?外国人雇用で最初に知っておきたい基本知識

「ビザは取れています。」
「ビザを更新したいのですが…。」
行政書士としてご相談を受けていると、このような言葉を耳にすることがよくあります。しかし、実際にお話を伺うと、その方が知りたいのは「在留資格」のことだった、というケースは少なくありません。

日常会話では「ビザ」という言葉が広く使われていますが、法律上は「ビザ(査証)」と「在留資格」はまったく異なる制度です。この違いを理解することは、外国人本人だけでなく、外国人を受け入れる企業や支援機関にとっても非常に重要です。

ビザ(査証)とは

ビザとは、日本へ入国するために海外の日本大使館や総領事館が発給する「査証」のことです。

簡単に言えば、「この方は日本へ入国する条件を満たしていると確認しました」という推薦状のような役割を果たします。

つまり、ビザは日本へ入国するためのものであり、日本に入国した後にどのような活動ができるかを決めるものではありません。

そのため、ビザだけでは日本で働くことも、学校へ通うこともできません。

在留資格とは

一方、在留資格とは、日本へ入国した外国人が「日本でどのような活動を行うことができるか」を定める資格です。

例えば、

  • 技術・人文知識・国際業務
  • 特定技能
  • 経営・管理
  • 留学
  • 家族滞在
  • 永住者

など、活動内容や身分に応じてさまざまな在留資格があります。

それぞれ認められる活動が異なるため、自分の在留資格で許可されていない仕事を行うことは原則として認められていません。

よくある誤解

外国人本人だけでなく、企業担当者でも「ビザがあるから働けますよね」と考えてしまうことがあります。

しかし、本当に確認すべきなのは「どの在留資格を持っているか」です。

例えば、「留学」の在留資格を持つ外国人は、日本語学校や大学で学ぶことを目的として滞在しています。資格外活動許可を受ければ一定時間のアルバイトはできますが、正社員としてフルタイムで働くことはできません。

一方、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ方であっても、認められているのは専門的な業務であり、業務内容によっては在留資格との適合性が問題になることがあります。

つまり、「外国人だから働ける」「ビザがあるから問題ない」という考え方ではなく、「現在の在留資格で予定している業務が認められているか」を確認することが重要なのです。

私が現場で感じること

私は長年、記者や医療機関の事務長として外国人の対応に携わってきました。その中で感じたのは、多くの外国人が制度を十分理解できないまま生活しているという現実です。

一方で、企業側も「本人が『ビザがあります』と言ったので安心して採用した」というケースが少なくありません。

外国人本人に悪意があるわけではなく、日本独特の制度が分かりにくいことが原因で誤解が生じていることも多いのです。

だからこそ、制度を正しく理解し、外国人本人・受入企業・支援機関が同じ認識を持つことが、安心して働き、生活できる環境づくりにつながると私は考えています。

まとめ

ビザは「日本へ入国するための査証」、在留資格は「日本で何ができるかを定める資格」です。

似た言葉ですが、役割はまったく異なります。この違いを正しく理解することが、外国人雇用や在留資格手続きの第一歩です。

外国人本人も企業担当者も、「ビザがあります」という言葉だけで判断するのではなく、「どの在留資格で、どのような活動が認められているのか」を確認する習慣を持つことが大切です。


行政書士の現場でよくある相談

「留学生が卒業したので、そのまま正社員として働いてもらえますか?」

結論から言えば、多くの場合はそのまま働くことはできません。卒業後は、仕事内容に応じて就労可能な在留資格への変更許可を受ける必要があります。採用時期が近づいてから慌てることがないよう、卒業前から準備を進めることをおすすめします。


企業担当者へのワンポイントアドバイス

採用面接では「ビザはありますか?」ではなく、**「現在の在留資格は何ですか」「在留カードを確認させていただけますか」**と確認するようにしましょう。

在留資格の種類と担当予定業務が一致しているかを採用前に確認することで、不法就労のリスクを防ぎ、外国人本人も安心して働ける職場づくりにつながります。

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