35 特定技能1号とは?対象分野・要件・支援義務や育成就労との違いを行政書士が解説

人手不足が深刻化する日本では、介護、建設、製造、外食、宿泊など、さまざまな分野で外国人材の活躍が広がっています。

その中心的な在留資格の一つが、**「特定技能1号」**です。

特定技能1号は、人材を確保することが困難な特定産業分野において、相当程度の知識または経験を必要とする技能を持つ外国人が働くための在留資格です。

特定技能1号になるための要件は?

特定技能1号では、原則として、外国人本人に一定の技能水準と日本語能力が求められます。

具体的な試験や基準は分野によって異なるため、採用する企業は「特定技能の試験に合格しているか」だけではなく、どの分野・業務区分で、どの仕事に従事してもらうのかを確認する必要があります。

また、技能実習を良好に修了した人などについては、一定の場合に技能試験・日本語試験が免除される仕組みもあります。

特定技能1号で在留できる期間は、原則として通算5年以内です。

「育成就労」と「特定技能1号」は何が違う?

2027年4月1日から始まる**「育成就労制度」**との違いも重要です。

育成就労は、原則3年間の就労を通じて外国人を育成し、特定技能1号水準の人材へ育てる制度です。

これに対して特定技能1号は、すでに一定の専門性・技能を有する**「即戦力となる人材」**を想定しています。

したがって今後は、

育成就労 → 特定技能1号 → さらにその先のキャリア

という流れで外国人材の採用・育成・定着を考える視点が重要になります。

特定技能1号では「支援」が重要

特定技能1号の大きな特徴が、受入企業である**「特定技能所属機関」**に外国人への支援義務があることです。

企業は**「1号特定技能外国人支援計画」**を作成し、外国人が日本で安定して働き、生活できるよう必要な支援を行います。

支援には、事前ガイダンス、住居確保や生活に必要な契約への支援、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、定期的な面談などが含まれます。

企業が自社ですべての支援を行うことが難しい場合には、**「登録支援機関」**に支援計画の全部または一部の実施を委託することもできます。

私が重視する「在留資格×労務×生活・医療支援」

私は、特定技能外国人の受入れで重要なのは、在留資格を取得するところをゴールにしないことだと考えています。

外国人が日本で長く働くためには、適正な賃金・労働時間・社会保険・安全衛生などの労務管理に加え、住居、日本語、医療、行政手続、職場でのコミュニケーションなども重要です。

私は行政書士として在留資格を扱う一方、長年医療機関で勤務し、外国人患者受入れ医療コーディネーターとして外国人の医療支援にも携わっています。

その経験から、特定技能についても、**「在留資格×労務コンプライアンス×生活・医療支援×キャリア形成」**を一体として考えることが、外国人の定着と企業の安定した人材確保につながると考えています。

労務分野については、社会保険労務士など専門家との連携も重要です。

まとめ

特定技能1号は、人手不足が深刻な特定産業分野で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が働くための在留資格です。

重要なのは、**「外国人を採用する制度」ではなく、「外国人を適正に雇用し、支援し、活躍してもらう制度」**として理解することです。

さらに2027年からは育成就労制度が始まります。外国人材の受入れを、育成就労から特定技能、その先のキャリアまで一つの流れとして設計することが、企業にも求められるようになるでしょう。

行政書士の現場でよくある相談

「特定技能1号の外国人を採用したら、登録支援機関への委託は必須ですか?」

必ずしも登録支援機関への委託が必要というわけではありません。

受入企業自身が法令上必要な支援体制を整え、適切に支援計画を実施できる場合には、自社で支援することも可能です。

一方、自社で十分な支援体制を構築することが難しい場合には、登録支援機関への委託を検討します。

大切なのは、「誰に委託するか」より先に「外国人にどのような支援が必要なのか」を理解することです。

企業担当者へのワンポイントアドバイス

特定技能外国人の採用では、在留資格申請と登録支援機関への委託だけで終わらせないことをおすすめします。

人事・現場責任者・登録支援機関・行政書士・社会保険労務士などが連携し、採用、在留資格、労務管理、日本語教育、生活・医療支援、キャリア形成までを一つの外国人材戦略として設計することが重要です。

特に育成就労制度が始まれば、外国人に「選ばれる企業」であることの重要性はさらに高まります。

「外国人を採用する」から「外国人に選ばれ、育て、長く活躍してもらう」へ。

この視点が、特定技能・育成就労時代の外国人材戦略では重要になると考えています。

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