34 育成就労制度とは?技能実習との違い・特定技能への移行・監理支援機関を行政書士が解説

外国人材の受入れ制度が、大きな転換期を迎えています。

2027年4月1日からスタートするのが、**「育成就労制度」**です。

育成就労制度は、技能実習制度を発展的に解消し、外国人を原則3年間の就労を通じて育成するとともに、日本国内の人手不足分野における人材確保を目的とする新しい制度です。

これまでの技能実習が「技能等の移転による国際貢献」を目的としていたのに対し、育成就労では、**「人材育成」と「人材確保」**が明確な目的となります。

育成就労制度とは?

育成就労制度では、外国人が日本で原則3年間働きながら技能や日本語能力を身につけ、「特定技能1号」水準の人材へ育成することを目指します。

そのため、育成就労と特定技能は別々の制度として考えるのではなく、

育成就労 → 特定技能1号 → さらにその先のキャリア

という外国人材の中長期的な育成・就労ルートとして考えることが重要です。

受入企業には、外国人ごとに**「育成就労計画」**を作成し、認定を受ける仕組みが設けられています。

2026年9月1日から、この育成就労計画の施行日前申請も始まっています。

技能実習と何が変わる?

大きな違いの一つが、外国人本人の意向による**「転籍」**が一定の要件のもとで認められることです。

技能実習制度では、本人の意向による転籍が原則として認められていなかったため、この点は大きな制度変更といえます。

企業にとっても、「採用すれば3年間働いてもらえる」と考えるのではなく、外国人から選ばれる職場をつくることが、これまで以上に重要になります。

賃金だけでなく、職場環境、日本語教育、キャリア形成、生活支援なども定着を左右する要素になるでしょう。

「監理団体」から「監理支援機関」へ

技能実習制度の**「監理団体」に代わり、育成就労制度では「監理支援機関」**が重要な役割を担います。

監理支援機関は、国際的な人材のマッチング、受入企業への監理・指導、育成就労外国人への支援・保護などを行います。

外国人本人から転籍の申出があった場合には、関係機関との連絡調整なども担います。

技能実習制度から単に名称が変わるだけではなく、監理・支援・外国人保護の機能がより重視される制度と理解しておく必要があります。

私が重視する「在留資格×労務×医療・生活支援」

私は、育成就労制度で特に重要になるのがコンプライアンスと定着支援だと考えています。

外国人を受け入れる以上、入管法や育成就労法だけでなく、賃金、労働時間、社会保険、安全衛生、ハラスメントなどの労働関係法令への対応が不可欠です。

私は行政書士として在留資格を扱うとともに、長年医療機関で勤務し、外国人患者受入れ医療コーディネーターとして外国人の医療支援にも携わっています。

その経験から、**「在留資格×労務コンプライアンス×日本語教育×医療・生活支援」**を一体として考えることが、外国人の定着につながると考えています。

特に労務分野については、社会保険労務士など他の専門家と連携し、受入企業を支える体制づくりが重要です。

まとめ

育成就労制度は、単なる「技能実習制度の後継制度」ではありません。

外国人を人手不足の補充として受け入れるだけではなく、育成し、特定技能へつなぎ、日本で中長期的に活躍してもらう制度へと考え方が大きく変わります。

企業にとっても、これから問われるのは「外国人を採用できるか」だけではありません。

**「外国人から選ばれ、育成し、定着してもらえる企業になれるか」**が重要になります。

行政書士の現場でよくある相談

「現在、技能実習生を受け入れています。2027年4月から全員を育成就労へ変更しなければならないのでしょうか?」

必ずしもそうではありません。

2027年4月1日時点ですでに技能実習を行っている人などについては、一定の経過措置が設けられており、要件を満たせば施行後も技能実習を継続できる場合があります。

したがって、現在の技能実習生の状況、新たに受け入れる外国人の時期、育成就労計画、監理支援機関などを整理し、技能実習から育成就労への移行スケジュールを早めに確認することが重要です。

企業担当者へのワンポイントアドバイス

育成就労制度への対応を「外国人担当者だけの仕事」にしないことをおすすめします。

経営、人事・労務、現場責任者、監理支援機関、行政書士、社会保険労務士などが連携し、採用・在留資格・育成・労務管理・日本語教育・生活支援・特定技能への移行までを一つの仕組みとして設計することが重要です。

2026年9月から育成就労計画の施行日前申請も始まり、制度はすでに「準備する段階」から「実際に動き始める段階」に入っています。

「外国人を受け入れる」から「外国人を育て、ともに成長する」へ。

この発想が、育成就労時代の外国人材戦略では重要になると考えています。

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